妊娠36週以降、いよいよ出産間近となる臨月。この時期に「股関節が痛い!」と感じる妊婦さんは少なくありません。突然、ズキッと痛みが走ったり、徐々に鈍い痛みが増したり、あるいは他の症状(例えば、発熱など)を伴うこともあります。焦らずに、まずはその原因と、自宅でできる対策を知っておきましょう。
考えられる原因
臨月になると、身体は出産に向けて様々な変化を起こします。この変化が、股関節痛を引き起こす原因となることがあります。
-
ホルモンバランスの変化: リラキシンというホルモンが分泌され、骨盤周りの靭帯を緩めます。これは出産に向けて骨盤を広げやすくするためですが、同時に股関節に負担がかかりやすくなります。
-
姿勢の変化: お腹が大きくなるにつれて、身体の重心が変化し、姿勢も変わります。反り腰になったり、歩き方がぎこちなくなったりすることで、股関節に負担がかかりやすくなります。
-
体重増加: 妊娠中は体重が増加し、股関節にかかる負担も大きくなります。特に、急激な体重増加は股関節痛を悪化させる可能性があります。
-
筋肉の負担: 大きくなったお腹を支えるために、股関節周りの筋肉に負担がかかります。また、妊娠中の運動不足も、筋肉の柔軟性を低下させ、痛みを引き起こす原因となります。
-
慢性的な問題: すでに持っている関節炎などの慢性的な問題が、妊娠中の身体の変化によって悪化することもあります。
-
環境要因: 長時間のデスクワークや同じ姿勢での作業、冷え、ストレスなども、股関節痛の悪化要因となる可能性があります。
よくある症状
股関節痛の症状は人それぞれですが、一般的に以下のような症状が見られます。
- 動作時の痛み: 歩く、立ち上がる、寝返りを打つなど、身体を動かす際に痛みを感じます。
- 特定の動作での痛み: 足を組む、長時間座る、階段の上り下りなど、特定の動作で痛みが増すことがあります。
- 腫れや圧痛: 股関節周りに腫れや圧痛を感じることがあります。
- 可動域の制限: 股関節の動きが制限され、スムーズに動かせないことがあります。
- 関連症状: 疲労感、軽度の発熱、赤みなどを伴うこともあります。
- 急な痛み、または鈍い痛み: 突然鋭い痛みが走ったり、徐々に鈍い痛みを感じたりします。
解決策と自宅でのケア
痛みを和らげ、快適なマタニティライフを送るために、自宅でできる対策をいくつかご紹介します。
-
安静: 痛みが強い場合は、無理をせずに安静にしましょう。横になるなどして、股関節への負担を減らします。
-
温熱療法: 温かいお風呂に入ったり、温めたタオルやカイロを股関節にあてたりすることで、血行を促進し、痛みを和らげることができます。ただし、熱すぎると逆効果になることもあるので、注意が必要です。
-
冷湿布: 炎症が強い場合は、冷湿布で患部を冷やすのも効果的です。
-
正しい姿勢: 良い姿勢を保つように心がけましょう。椅子に座る際は、背もたれに寄りかかり、クッションなどで腰を支えるのも良いでしょう。
-
ストレッチ: 股関節周りの筋肉をストレッチすることで、筋肉の緊張を和らげ、痛みを軽減できます。
- 股関節ストレッチ: 仰向けに寝て、片方の膝を抱え、胸に近づけます。反対側の股関節を伸ばすように意識しましょう。
- お尻ストレッチ: 仰向けに寝て、片方の膝を立てます。反対側の足首を立てた膝の上にかけます。立てた膝を抱え、胸に近づけます。お尻の筋肉が伸びるのを感じましょう。
- 壁を使ったストレッチ: 壁に手をつき、片方の足を後ろに伸ばし、もう片方の膝を曲げて股関節を伸ばします。
注意点: ストレッチは無理のない範囲で行いましょう。痛みを感じたらすぐに中止してください。
-
軽い運動: ウォーキングなどの軽い運動は、血行を促進し、筋肉を強化し、痛みの軽減に役立ちます。ただし、激しい運動は避け、体調に合わせて無理のない範囲で行いましょう。
-
体位の工夫: 寝る時は、横向きに寝て、抱き枕などを利用して、股関節への負担を軽減します。
-
食事と水分補給: バランスの取れた食事を心がけ、十分な水分を摂取しましょう。
-
環境調整: 長時間同じ姿勢での作業を避け、適度に休憩を取りましょう。冷え対策として、厚着をしたり、冷房の効きすぎに注意したりしましょう。
-
サポーター: 股関節をサポートするサポーターを利用するのも良いでしょう。
医療機関への受診を検討すべき場合
ほとんどの股関節痛は、上記の対策で改善しますが、以下のような場合は、医療機関への受診を検討しましょう。
- 痛みが数日以上続く、または悪化する場合: 自宅でのケアで改善が見られない場合は、専門家の診断を受ける必要があります。
- 出血や異常なおりものを伴う場合: 何らかの感染症や合併症の可能性も考えられます。
- 他の部位への痛みやひどい神経痛: 坐骨神経痛など、他の問題が隠れている可能性があります。
- 日常生活に支障をきたす場合: 痛みで歩行困難になったり、家事ができなくなったりする場合は、早めに受診しましょう。
- 高熱やその他の重篤な症状を伴う場合: 緊急を要する場合があります。
まとめ
臨月における股関節痛は、多くの妊婦さんが経験する悩みです。その原因を理解し、適切な対策を行うことで、痛みを和らげ、快適なマタニティライフを送ることができます。ほとんどの痛みは、安静、温熱療法、ストレッチ、正しい姿勢、軽い運動などの自宅ケアで改善します。しかし、痛みが長引いたり、悪化したりする場合は、自己判断せずに、専門家(産婦人科医や理学療法士など)に相談しましょう。
日頃から良い姿勢を心がけ、適度な運動を取り入れ、バランスの取れた食事と十分な睡眠をとり、出産に向けて、心身ともに健康な状態を保ちましょう。そして、不安なことや疑問に思うことがあれば、遠慮なく医師や助産師に相談してください。